シンガポール開催の魅力

グローバルリンク シンガポール(GLS)2016は閉幕しましたが、最後にコンテストのシンガポール開催の魅力についてレポートしたいと思います。シンガポールは、アジアや世界から人々や企業が集まり、今やアジアの中心地の一つといえる都市となっています。シンガポールでは、独立から今年51年を迎える比較的短い歴史ながら、小さい国土でも競争力となる科学技術を大変重要視し、戦略的に世界中から高いレベルの研究者や企業を誘致することで成功をおさめています。実際、今回会場になったシンガポール国立大学(NUS)は、アジアで最も評価の高い大学とされることもあります。日本の高校生にとって、サイエンスや社会課題の解決をテーマにしたコンテストに参加するだけでなく、このような背景をもつシンガポールでの様々な施設の見学や各国生徒との交流の経験は、アジアや世界で活躍するのに必要となる多様な視座や広い視野を身につけるはじめの一歩となったようです。コンテストに参加した生徒からは「アジアの高校生のレベルが高いことがわかり、その中で競争できるような力を身につけたいと思った」という声も聞かれました。また、先生方からは「生徒にとって国全体の科学技術の振興という大きな視点のもてる貴重な機会だった」というコメントもありました。

シンガポールは、治安が良く、英語が公用語の1つとなっているため様々な見学や体験が可能です。今回、3日間のGLSプログラムの他に取材した施設等がありますので簡単にご紹介します。

・Gardens by the Bay

2012年にオープンした新しい植物園で、人工の木スーパー・ツリーと、フラワー・ドーム、クラウド・フォレストの2つのドームが特徴です。常夏の国、シンガポールで寒冷で乾燥した高山等の気候を再現するために作られたドーム温室ならぬ冷室は、はじめから環境に配慮した設計となっており、電力の消費を最小限におさえています。園内には、そのような環境配慮や技術的な工夫を学ぶことができる展示も充実しており、見て楽しむだけでなく、学ぶことのできる施設となっています。

・Marina Barrage

国土が小さく殆どが平地のシンガポールでは、水の確保が最重要課題となっています。Marina Barrageは、川をせき止めつくられた貯水池で、その堰にはシンガポールの水政策について学べる施設が併設されており、水問題の学習にも最適です。現在、シンガポールでは、貯水池のほか、再利用水NEWaterや海水の淡水化、水の購入によって需要をまかなっているそうです。屋上は緑の広場となっており、港湾やシンガポールの中心地を一望できます。

MUN.inc MasterClass

MUN.incは、Yale-NUSの学生によって設立されたスタートアップ企業で、模擬国連のノウハウを学ぶことができるコースMasterClassを開講しています。模擬国連を知り尽くした経験豊富な講師陣が担当し、初心者レベルから上級者までを対象に模擬国連の体験を通して、模擬国連のテクニックのみならず、実際の現場で役に立つ発表や議論の仕方を英語で学ぶことができます。クラスのテーマや日程等は、参加校に希望に応じてカスタマイズ可能で、日本の学校も利用実績があるそうです。詳しくは、MUN.incのページを御覧ください。

・Singapore Zoo

北部に隣接してある3つの動物園の一つ、シンガポール動物園。ここでは、檻や柵のない自然な動物の展示が特徴ですが、様々なバックグラウンドツアーが用意されています。対象は、小学生から大学生まで様々な年齢層に対応していて、ただ動物を見るだけではなく、動物園の裏側や動物・昆虫の生態について詳しく学ぶことができます。動物園で一泊できるコースも開催されており、日本ではなかなかできない動物園の楽しみ方・学習ができる場となっています。

特別講演を受講、シンガポールの研究施設を見学

グローバルリンク シンガポール2016の日程としては最終日の25日、参加の高校生たちは、シンガポールで働く研究者の特別講演や普段は入ることのできない研究施設の見学を楽しみました。

 

午前中は、昨日と同じ会場でシンガポールの研究者から直接、英語で講義を受講しました。まずNational University of Singapore准教授 Than Leng Leng氏から、『Aging and Policy Response : the Case of Singapore』というテーマで、高齢化する社会にどう対処していくか、シンガポールの現状とともに紹介してもらいました。Than Leng Leng氏は、日本の沖縄に滞在して研究した経験もあるそうです。シンガポールでは、家族の結びつきを強くすることで高齢者と若年者が支え合う社会を目指していることが説明されました。

続いて、Science Centre Singaporeマネージャー Pang Kian Tiong氏からは『Science Communication』についての講義がありました。Pang Kian Tiong氏は純粋な物理学を勉強していた中、学際的な医学に関わる研究をしたことをきっかけにScience Communicationにご興味をもち、現在のお仕事をされているそうです。日本の高校生は、慣れない英語での長時間の講義となりましたが、集中力を高め、内容を理解しようと頑張っていました。

 

昼食の後、午後は、最先端技術の研究を行っている研究機関や企業が集まるFusionopolis内のA*STARの施設Fusionworldや生命系の研究が行われているBiopolisを見学しました。普段は、目にすることのできない最先端の研究施設の様子に高校生たちは目を輝かせていました。また、セントーサ島に移動し、世界最大級の大きさを誇る水族館S.E.A.アクアリウムを見学しました。

グローバルリンク シンガポール2016審査会・表彰式

グローバルリンクシンガポール2016 2日目となる本日24日は、審査会が開催されました。会場は、昨日に引き続き、National University of SingaporeのUniversity Town内のホールです。審査会のオープニングセレモニーでは、昆虫サイボーグ研究の第一人者であるNanyang Technological University助教授 佐藤裕崇氏による基調講演が行われました。高校生たちは英語の講演でしたが、熱心に佐藤氏の発表を聞き入っていました。

まずは、社会課題をテーマとするGlobal Issue Linkのオーラル発表が行われ4チームが発表、その後、午前中のポスターセッションとなりました。お昼の休憩を挟んだ後は、科学研究をテーマとするGlobal Science Linkのオーラル発表が行われ10チームが発表しました。続いて午後のポスターセッションがありました。

オーラルセッションもポスターセッションもすべて英語での発表、質疑応答になります。日本の高校生は、英語による質疑応答にもかかわらず堂々と受け答えできているチームも多くありました。特にポスターセッションでは、審査員だけでなく、参加高校生も自由に発表者に質問することができます。高校生にとって、同年代のアジアの高校生と議論する経験は大変貴重なものになったのではないでしょうか。

 

全発表が終了後、いよいよ緊張の表彰式となりました。結果は以下のとおりとなります。

<ポスターセッションの部>

【Global Issue Link】
◆1st Award
富士見丘高等学校
◆2nd Award
Sekolah Indonesia Singapura/インドネシア
◆3rd Award
Sekolah Indonesia Singapura/インドネシア

【Global Science Link】
◆1st Award
池田高等学校
◆2nd Award
Princess Chulabhorn’s College Pathumthani/タイ
◆3rd Award
Princess Chulabhorn Science High School Phitsanulok/タイ

<オーラルセッションの部>

【Global Issue Link】
◆Best Presentation Award
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校

【Global Science Link】
◆Inovative Award
National Junior College/シンガポール
◆Futuristic Award
福岡県立香住丘高等学校
◆Best Presentation Award
宮城県仙台第三高等学校
◆Special Award
愛媛県立長浜高等学校

さらに、Inovative Awardに輝いたNational Junior Collegeは、来年3月開催予定の「つくばScience Edge2017」に招待されます。

 

表彰式の後は、フェアウェルディナーが開催され、学校や国にとらわれることなく夕食やチームでゲームを楽しんでいました。最後には、連絡先やおみやげを交換する姿を見ることができました。
明日は、特別講演ののち、Fusionopolis等の見学となります。

シンガポールに到着、アジアの高校生と交流!

いよいよやってきたグローバルリンク シンガポール2016 1日目。参加の高校生は、日本を深夜に出発し、23日早朝に無事シンガポール チャンギ空港へと到着しました。緊張の面持ちの参加者の皆さんでしたが、まずはシンガポールのシンボルであるマーライオンを見学、高度な技術で実現した新しい植物園ガーデン・バイ・ザ・ベイを散策しました。

National University of Singaporeへ移動し、午後にかけて、オーラル発表のチームはそれぞれリハーサルやポスター発表の準備を行い、University Town内を回るキャンパス・ツアーやYale-NUS学生とのオリエンテーションへ参加しました。

 

夕方からは、夕食を兼ねたネットワーキングセッションが行われました。ネットワーキングセッションでは、高校紹介の後、様々な国の生徒と混合のチームでクイズゲームを楽しみました。最初は戸惑いながらも、徐々に英語や身振り手振りで交流することに慣れて、楽しんでいる様子の高校生たちでした。明日は同じくUniversity Townでいよいよ本番の審査が行われます。

グローバルリンク シンガポール2016 開催間近!

Global Link Singapore 2016開催まであとわずかとなりました。2016年のGlobal Link Singaporeは、Yale-NUS大学をメイン会場に2016年7月23日から25日にかけて開催されます。アジア各国から集まった高校生が科学や社会問題をテーマに発表を行います。今年は、シンガポール、日本、台湾、タイ、インドネシアの5カ国から21校の高校生が参加する予定です。当ページでは現地から大会の様子をお伝えしていきます。

コンテストでは、科学をテーマにしたGlobal Science Linkと社会課題をテーマとしたGlobal Issue Linkの2カテゴリであらそわれます。それぞれのカテゴリでは、オーラル発表部門とポスター発表部門があり、以下の賞が送られる予定となっています。サイエンスの審査員は、Dr. Khoo Eng Huat氏、Dr. Ng Fui Mee氏、Dr. Shanshan Howland氏の3氏、社会課題の審査員は、Dr. 佐藤裕崇氏、Dr. Than Leng Leng氏の2氏が予定されています。また、サイエンスのオーラル発表部門では、今年3月に開かれたつくば Science Edgeの上位入賞者が招待され、発表を行うことになっています。

  • オーラル発表
    社会課題1賞(Best Presentation Award)
    サイエンス3賞(Innovative Award/Futuristic Award/Best Presentation Award)
  • ポスター発表
    社会課題・サイエンス各部門3賞(1位/2位/3位)

なお、現在出場を予定している高校は以下のとおりです。

  • オーラル発表
    【社会課題】
    東京都立小石川中等教育学校
    立教池袋高等学校
    横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校①
    横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校②
    【サイエンス】
    宮城県仙台第三高等学校
    市川高等学校
    愛媛県立長浜高等学校
    福岡県立香住丘高等学校
    National Experimental High School At Central Taiwan Science Park(台湾)
    Princess Chulabhorn Science High School Phitsanulok(タイ)
    Princess Chulabhorn’s College Pathumthani(タイ)
    Singapore Polytechnic①(シンガポール)
    Singapore Polytechnic②(シンガポール)
    National Junior College(シンガポール)
  • ポスター発表
    【社会課題】
    富士見丘高等学校
    立教池袋高等学校
    法政大学女子高等学校①②
    【サイエンス】
    岩手県立水沢高等学校
    岩手県立盛岡第三高等学校
    立教池袋高等学校
    芝浦工業大学高等学校
    東京都立小石川中等教育学校
    お茶の水女子大学附属高等学校
    東京都立多摩科学技術高等学校①②③④⑤
    横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校①②③④⑤
    池田高等学校
    Princess Chulabhorn’s College Pathumthani(タイ)
    Princess Chulabhorn Science High School Phitsanulok(タイ)
    Sekolah Indonesia Singapura(インドネシア)

グローバルリンク シンガポール情報サイト リニューアルオープン

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